パイロットはどんな緊急事態を訓練しているの?

– 弊社のシミュレーターで再現できる訓練をご紹介

 

「飛行機は世界で最も安全な乗り物の一つ」と言われています。その安全性を支えている理由の一つが、パイロットによる継続的なシミュレーター訓練です。

実際の運航では滅多に起こらない緊急事態であっても、万が一発生した際には、一つひとつの操作を正確かつ迅速に実施しなければなりません。そのため航空会社では、定期的にシミュレーターを使用した異常事態訓練を実施し、技量の維持・向上を図っています。

弊社のB737 MAX FTDでも、実際の運航で想定されるさまざまな異常事態を再現することが可能です。

今回は、その代表的な4つの訓練をご紹介します。

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V1 CUT(離陸中のエンジン故障)

離陸は飛行中でも特に負荷が高く、緊張感のあるフェーズです。

その中でも代表的な訓練が「V1 CUT」です。

V1とは「Decision Speed(決心速度)」と呼ばれ、この速度を超えた後に重大なトラブルが発生した場合、原則として離陸を継続しなければならない速度を指します。

例えば、V1を超えた直後に片方のエンジンが故障した場合、機体は正常なエンジン側へ進もうとするため、大きなヨーイング(機首が左右に振られる動き)が発生します。パイロットはラダーペダルを用いて機体を滑走路中心線に沿って維持しながら、安全に離陸を続ける必要があります。

さらに、離陸後はエンジン故障手順を実施しながら、片発で上昇を続け、必要に応じて出発空港への引き返しや代替空港への着陸を判断します。

この訓練では単に操縦技術だけではなく、

  • 機体姿勢の維持
  • 適切な速度管理
  • クルー間の連携(CRM)
  • チェックリストの実施
  • ATCとの交信

など、実際の運航さながらの一連の流れを訓練します。

ENGINE FIRE(エンジン火災)

エンジン火災は極めて稀な事象ですが、航空会社では必ず訓練する重要項目です。

火災警報が作動した際、パイロットは警報だけで慌てて行動するのではなく、機体の状態を確認しながら定められた手順を実施します。

エンジンを停止し、燃料の供給を遮断したうえで消火装置(Fire Bottle)を作動させ、それでも火災表示が消えない場合には追加の消火操作を実施します。

同時に、

  • 最寄り空港への着陸を検討
  • ATCへ緊急事態(MaydayまたはPan-Pan)の宣言
  • 客室乗務員との情報共有
  • 乗客へのアナウンス

など、多くの判断を短時間で行う必要があります。

シミュレーターでは、離陸直後・巡航中・降下中など、さまざまな飛行段階で火災を発生させることができ、それぞれ異なる対応を訓練できます。

SINGLE ENGINE APPROACH (片発進入)

片方のエンジンが停止した状態での着陸は、通常の着陸とは大きく異なります。

左右の推力が均等でなくなるため、機体は常に故障したエンジン側へ向きを変えようとする傾向があります。

パイロットはラダーやエルロンを適切に操作しながら機体を安定させ、通常以上に正確な速度管理と降下経路の維持を行います。

また、片発飛行では使用できる推力にも限りがあるため、一度進入を不安定にしてしまうと通常時よりゴーアラウンドの判断が難しくなる場合があります。

そのため、

  • フラップ設定
  • 着陸速度の選択
  • オートパイロットの使用可否
  • 着陸距離の確認

など、多くの要素を考慮しながら安全な着陸を目指します。

シミュレーターでは、さまざまな天候や横風を組み合わせることで、より実践的な片発進入訓練を実施できます。

DUAL ENGINE FAILURE(両エンジン停止)

両エンジン停止は非常に発生確率の低い異常事態ですが、航空会社では対応手順を確実に身につけるため、定期的に訓練が行われています。

「エンジンが止まると飛行機はすぐに落ちる」と思われがちですが、実際には航空機は高度を利用して長距離を滑空できます。

パイロットはまず最適滑空速度(Best Glide Speed)を維持し、できるだけ飛行距離を確保します。その間に、補助動力装置(APU)の起動やエンジン再始動の可能性を確認しながら、着陸可能な空港や場所を選定します。

さらに、

  • 残存する電源・油圧系統の確認
  • 再始動条件の評価
  • 風向・地形・滑空距離の計算
  • 着陸地点までの飛行計画

など、多くの判断を限られた時間で行う必要があります。

シミュレーターでは、さまざまな高度や気象条件で両エンジン停止を再現できるため、実際の運航では経験できない状況への対応力を養うことができます。

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シミュレーターだからこそ実現できる訓練

これらの異常事態は、実機で意図的に再現することは現実的ではありません。しかしシミュレーターでは、離陸滑走中・巡航中・進入中など、任意のタイミングで故障を発生させることができます。

さらに、同じシナリオを何度でも繰り返して訓練できるため、操縦技術だけでなく、状況判断、チェックリストの実施、クルー間の連携、ATCとのコミュニケーションなど、実運航に必要な総合的な能力を向上させることが可能です。

Skyart JAPANのFTDで体験できます

Skyart JAPANのFTDでは、今回ご紹介した

  • V1 CUT
  • ENGINE FIRE
  • SINGLE ENGINE APPROACH
  • DUAL ENGINE FAILURE

をはじめ、多彩な異常事態を再現できます。

プロのインストラクターによるサポートのもと、実際の運航で使用される手順や考え方に触れながら、パイロットがどのように緊急事態へ対応しているのかをリアルに体験していただけます。

普段のフライトでは知ることのできない「操縦席の世界」を、ぜひ弊社のシミュレーターでご体感ください。

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写真・内容の提供元:Skyart JAPAN社員が個人で作成した写真