ロールス・ロイスは飛行機も作ってる!?
実は知らない航空機エンジンの世界

空港で飛行機を眺めていると、B777やB787、A350など、さまざまな種類の飛行機を目にするかと思います。

一方で、その翼の下についている大きなエンジンについてまでは、考える機会はあまりないかもしれません。

実は、BoeingやAirbusといった航空機の機体を作る会社と、それらに取り付けられているエンジンを作る会社は、別々なんです。

そして面白いのが、同じ飛行機でも、搭載されているエンジンが違うということ。

例えばBoeing 777では、最大3社のエンジンから選択できるようになっています。

今回は、普段あまり意識することのない「飛行機のエンジンメーカー」について、ご紹介します。

✈️ 飛行機とエンジンは別の会社が作っている

航空機の機体を開発・製造する代表的なメーカーとして、BoeingやAirbusなどが挙げられます。

中国南方航空 B777-300ER / 弊社スタッフ撮影

一方、大型旅客機用のエンジンを手がけている代表的なメーカーには、

GE Aerospace(旧General Electric)

Pratt & Whitney

Rolls-Royce など

があります。

Rolls-Royceといえば高級車のイメージがありますが、航空業界では大型旅客機用エンジンの主要メーカーのひとつです。

🔧 B777には3社のエンジンがある

B777を例にすると、その違いが分かりやすくなります。

Boeing 777 Engine Options
GE Aerospace → GE90シリーズ
Pratt & Whitney → PW4000シリーズ
Rolls-Royce → Trent800シリーズ

これらはいずれもB777に採用されているエンジンです。

ただし、すべてのB777で3種類から自由に選べるわけではなく、機体の型式によって選択できるエンジンが異なります。

例えば、B777-200ERやB777-300では上記3社のエンジンから選択ができますが、B777-300ERについては、GE90のみが搭載される仕様となっています。

POINT

B777-300ERについては、機体が大型化したことで、より大きな推力が必要となり、GE90-115Bのみがその要求を満たしたためです。

そして、ANAが導入を予定している次世代のBoeing 777-9も、GE AerospaceのGE9Xのみが搭載されます。

🇯🇵 JALとANAではどう使い分けられている?

JAL ANA b777-300ER.JPG / Sho233531, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

JALとANAが運航してきたB777では、GE AerospacePratt & Whitneyのエンジンが使われてきました。

B777-300ERについてはGE90-115Bのみ。

一方、B777-200やB777-300などでは、Pratt & WhitneyのPW4000を搭載した機体もあります。

なお、JAL・ANAのB777では、Rolls-RoyceのTrent800は採用されていません。

ちなみに、以前運航されていたJAS(日本エアシステム)のB777にはPW4000シリーズが搭載されていました。

また、現在の政府専用機はB777-300ERなので、搭載されているのはGE90-115Bです。

👀 エンジンを見分けることはできる?

実際に空港でB777を見かけたときは、エンジンにも注目してみましょう。

細かな違いまで覚える必要はありませんが、まずはエンジン全体の大きさやシルエット、後方の形状を見ると、違いが分かりやすくなります。

GE90

GE90 – The Most Powerful Engine In The World / Melv_L – MACASR, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

GE90は、まずその大きさが特徴です。

特にGE90-115Bは非常に大きなファンを持っており、その直径はB737の胴体とほぼ同じサイズだと言われています。
見た目のポイントとして、エンジンを正面から見たときの中心の渦巻き模様が太いしずく型の渦巻きになっているのが特徴です。
B777-300ERを見かけたときは、まず「この大きなエンジンはGE90だ」と覚えておくと分かりやすいでしょう。

PW4000

Pratt & Whitney PW4000 / (4836578201).jpg/RAF-YYC from Calgary, Canada, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

PW4000シリーズは、形や大きさを変えながらB747やB767など、さまざまな大型旅客機に採用されてきた歴史の長い名機です。
その中で、B777にはシリーズ最大となる専用モデルが搭載されています。
ただし、3社のエンジンの中ではファン直径が一番小さく、サイズと性能のバランスを重視した設計です。
見分け方として、エンジン中心の模様がシンプルな一本の短い線になっているのが特徴です。

Trent800

Rolls Royce Trent 800.jpg / Selman Tabet, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

そしてRolls-RoyceのTrent800

こちらもB777に採用されたエンジンですが、JAL・ANAのB777には搭載されていません。

大きさ(ファン直径)としては、一番大きなGE90と、一番小さなPW4000のちょうど中間に位置します

Trent800の見分け方はエンジン中心が細い渦巻き線ですが、外観よりも内部構造に大きな特徴があります。

GE90 / PW4000
2-spool(2軸式)
Trent 800
3-spool(3軸式)

その名の通り、エンジン内部に回転するシャフトが3本あります。

3軸にすることで、それぞれのシャフトを異なる回転速度で動かしやすくなり、エンジンの各部分をより効率よく働かせることができます。

一方で、構造が複雑になるため、部品点数や整備の面では不利になる部分もあります。

「3軸だから絶対に優れている」というわけではなく、メーカーがどのような設計思想でエンジンを作るかの違いともいえます。

🧑‍✈️ちなみに、ファンの中には、エンジン音を聞いただけで製造メーカーや機種を言い当てることができる方もいるとか……。

✈️ 実は日本でも大活躍!Rolls-Royce製エンジン

Japan Airlines A350-900 (Rolls-Royce Trent XWB) / 弊社スタッフ撮影

Boeing 777の「Trent800」は日本の航空会社での採用はありませんが、同社の最新エンジンはANAのB787やJALのA350に搭載され、日本でも広く活躍しています。

Rolls-Royce Engine
ANA B787 → Trent 1000
JAL A350 → Trent XWB

つまり、日本の空港でもRolls-Royceのエンジンを見る機会はあります。

「Rolls-Royce=高級車」というイメージだけではなく、実は空の世界でも非常に大きな存在なのです。

🤔 なぜエンジンを選べるの?

United Airlines B777-200 (Pratt & Whitney PW4000 ) / 弊社スタッフ撮影 

航空会社にとって、エンジンは飛行機を運航するうえで非常に重要な存在です。

燃費や推力、重量、整備性、部品の供給体制など、さまざまな条件を考えて、自社の運航に合ったエンジンを選びます。

また、すでに同じメーカーのエンジンを使用している航空会社であれば、整備設備や部品、整備士の経験などを活用できるというメリットもあります。

ENGINE SELECTION
「どのエンジンが一番いいか」ではなく、
「どのエンジンが自分たちの運航に合っているか」

という視点で選ばれています。

✈️ 次に飛行機を見るときはエンジンにも注目

GE Aerospace – GE90-115B / 弊社スタッフ撮影

次に飛行機を見る機会があったら、機体だけでなく、翼の下にも少し注目してみてください。

機体を作る会社があり、エンジンを作る会社がある。

そして、その組み合わせによって一機の旅客機が空を飛んでいる。

普段何気なく見ている飛行機も、少し視点を変えると、意外と奥深い世界が広がっています。

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