AIRLINE PILOT FLIGHT TRAINING

BASIC TRAINING — PART 1

基礎訓練課程 – BASIC TRAINING PHASE

In our previous blog post, we followed a pilot trainee through a typical day of flight training.

From classroom lessons and pre-flight preparations to actual flight operations and studying after returning home, we introduced some of the daily routines and dedication required to become a professional pilot.

But what does it actually take to become an airline pilot? What kind of training must aspiring pilots complete, and which licenses do they need to obtain?

The journey to the cockpit of a commercial airliner involves several stages of training.

In this series, we will introduce the different stages of training required to become an airline pilot in two parts.

In Part 1, we will focus on the Basic Training Phase, where aspiring pilots develop the fundamental knowledge and flying skills needed to operate an aircraft.

前回のブログでは、パイロット訓練生の一日に密着し、ご紹介しました。

座学からフライト前の準備、実際の操縦、そして帰宅後の予習・復習まで、パイロットになるためには日々どのような訓練を積み重ねているのか、その一端をご覧いただけたと思います。

では、そもそもエアラインのパイロットになるためには、どのような訓練を経て、どんなライセンスを取得する必要があるのでしょうか?

実は、旅客機のコックピットに座るまでには、いくつもの段階があります。

今回は、エアラインパイロットを目指す訓練過程を2回に分けてご紹介します。

第1回となる今回は、飛行機を操縦するための基礎を身につける「基礎訓練課程」です。

 基礎訓練課程とは?

基礎訓練課程では、将来エアラインの副操縦士として乗務するために必要な操縦技術と知識を身につけます。

訓練では、最初から大型旅客機を操縦するわけではありません。まずは小型の単発機からスタートし、基本的な操縦技術を習得。その後、双発機での飛行や計器だけを頼りにした飛行など、少しずつ難易度の高い訓練へと進んでいきます。

この過程で取得を目指す主なライセンス・資格は、次の4つです。

PPLPrivate Pilot License(自家用操縦士)
MRMulti-Engine Rating(多発限定)
CPLCommercial Pilot License(事業用操縦士)
IRInstrument Rating(計器飛行証明)

それぞれの資格で何を学び、どのような技術を身につけるのか、順番に見ていきましょう。

01 PPL|自家用操縦士

すべての基本となる、飛行機を自分で操縦するための第一歩。

PPL(Private Pilot License)は、自家用操縦士の資格です。

パイロットとしての基礎を身につける最初の段階で、飛行機の操縦に必要な基本操作を一つずつ習得していきます。

訓練で学ぶのは、主に次のような内容です。

  • 離陸・着陸
  • 上昇・降下・旋回
  • 高度や速度の維持
  • 航空交通管制との交信
  • 航空法規や航空気象
  • 航法(目的地までの飛行経路を計画し、飛行する技術)

最初は教官と一緒に飛行し、操縦の基本を学びます。技量が身についてくると、教官が同乗しない単独飛行にも挑戦します。

初めて自分一人で飛行機を操縦する瞬間は、訓練生にとって大きな節目です。

もちろん、単独飛行は教官が安全に飛行できると判断した場合に限られます。

PPLの取得を通じて、飛行機を安定して操縦する技術だけでなく、気象状況や周囲の航空機、機体の状態などを自分で判断する力も養っていきます。

エアラインパイロットを目指すうえでも、この段階で身につける基本が、その後のすべての訓練につながります。

02 MR|多発限定

エンジンが2つある飛行機を操縦するための訓練。

PPLで単発機の基本操縦を習得したら、次はMR(Multi-Engine Rating)です。

MRは、多発機を操縦するための限定資格です。エンジンが2基以上ある飛行機を安全に操縦するための知識と技術を学びます。

単発機と双発機では、操縦時に注意すべき点が大きく異なります。

特に重要なのが、片方のエンジンが停止した場合の対応です。

例えば、飛行中に右側のエンジンが停止したとします。

単発機であれば、エンジンが停止すると推力を失います。一方、双発機では片方のエンジンが動き続けるため、左右の推力に差が生じ、機体は停止したエンジン側へ曲がろうとします。

この状態で機体を安定させ、適切な速度と飛行姿勢を維持しながら安全に飛行を続けるには、特別な操縦技術が必要です。

MRの訓練では、こうしたエンジン停止を想定した緊急操作や、片発飛行時の性能・操縦特性についても学びます。

単にエンジンが2つになっただけではなく、片方のエンジンに異常が発生した場合でも、残るエンジンを使って安全に飛行できる能力を身につけることが、この訓練の大きな目的です。

03 CPL|事業用操縦士

趣味として飛ぶ操縦から、仕事として飛ぶ操縦へ。

CPL(Commercial Pilot License)は、事業用操縦士の資格です。

PPLが自家用として飛行機を操縦するための資格であるのに対し、CPLは報酬を受けて操縦業務に従事するために必要となる資格です。

エアラインパイロットを目指すうえで、欠かせない重要なステップです。

CPLの訓練では、これまで習得してきた基本操縦技術をさらに高いレベルへ引き上げます。

例えば、次のような技術が求められます。

  • より正確な速度・高度・針路の維持
  • 安定した離着陸
  • 状況に応じた適切な飛行判断
  • 航空法規や航空気象に関する深い理解
  • 緊急事態への適切な対応

しかし、事業用操縦士に求められるのは、単に飛行機を正確に操縦する技術だけではありません。

プロのパイロットには、「安全性・経済性・定時性」の3つを意識した運航が求められます。

安全性最優先
経済性
定時性

まず、最も優先されるのは安全性です。乗客や乗員の安全を守ることは、パイロットとして何よりも大切な責任です。

そのうえで、仕事として飛行する以上、経済性も重要になります。例えば、燃料消費を抑えられる飛行高度や速度、効率的な飛行経路を考えるなど、安全を確保しながら運航コストを抑える判断が求められます。

そして、もう一つが定時性です。航空機を利用するお客様にとって、出発や到着の時間は非常に重要です。天候や航空交通の状況などを考慮しながら、定められたスケジュールを守るための判断力も必要になります。

もちろん、安全性を犠牲にしてまで経済性や定時性を優先することはありません。あくまでも安全を最優先としたうえで、効率的かつ時間を守った運航を実現することがプロの仕事です。

自家用操縦士との大きな違いは、自分が飛びたいように飛ぶのではなく、お客様や運航会社の期待に応えながら、責任を持って飛行すること。

CPLの訓練は、操縦技術を磨くだけでなく、プロのパイロットとしての考え方を身につける重要な段階でもあります。

04 IR|計器飛行証明

外の景色が見えなくても、計器を頼りに飛行する。

最後に紹介するのが、IR(Instrument Rating)、計器飛行証明です。

旅客機が飛行する空域では、常に地上や地平線が見えているとは限りません。

雲の中を飛行することもあれば、雨や霧などによって視界が悪くなることもあります。

そのような状況でも安全に飛行するために必要なのが、計器飛行の技術です。

計器飛行では、外の景色に頼らず、機内の計器から得られる情報をもとに機体の姿勢や位置、速度、高度を判断します。

訓練では、次のような技術を習得します。

  • 計器を使用した上昇・降下・旋回
  • 水平姿勢や速度の維持
  • 計器進入方式による着陸
  • 航空交通管制の指示に従った飛行
  • IFR(Instrument Flight Rules/計器飛行方式)に基づく航法

特に難しいのが、計器だけを見ながら機体の姿勢を正確に維持することです。

人間の身体は、加速や旋回によって実際とは異なる姿勢を感じることがあります。そのため、身体の感覚に頼らず、計器の情報を正しく読み取って操縦する必要があります。

例えば、雲の中で飛行しているとき、機体がわずかに傾いていても、外の景色から判断することはできません。

そこで姿勢指示器や高度計、速度計などを確認しながら、常に機体の状態を把握します。

さらに、計器進入方式を使用した着陸訓練では、定められた手順に従って滑走路へ進入していきます。

視界が悪い状況でも安全に目的地へ向かうための、エアラインパイロットに欠かせない技術です。

基礎訓練を終えると、いよいよ次のステップへ

ライセンスは取得したけどまだ副操縦士じゃない?

ここまで紹介した4つの資格を通じて、訓練生は飛行機の基本操縦から双発機の運航、事業用の操縦技術、計器飛行まで、幅広い知識と技術を身につけていきます。

ただし、ライセンスを取得したからといって、すぐにエアラインパイロットとしてBoeing 737やBoeing 777などの旅客機を操縦できるわけではありません。

エアラインの副操縦士として乗務するためには、さらに航空会社独自の訓練が待っています。

実際の航空会社でも、基礎訓練の後に乗務する機種の訓練や路線訓練を実施し、審査に合格して初めて副操縦士として任用されます。